イギリス戦車とフランスワイン

工場、武器、ワインデヴェロッパー界隈ではappleの開発者イベントのWWDCで盛り上がりを見せている昨日今日ですが、こういうブログを書いているので先立つものがありませんぜということで。
さて、先立つものということで、引き続き原子力関連の調べ物を細々と続けているのですが、核燃料にまつわるお金の流れということ。

唐突ですが、今年オリンピックが開催されますイギリスについて。先ほどイギリスのキャメロン首相が来日したとの報道がありましたが、その内容というのがある意味奇妙なモノ。
防衛関連の共同開発体制を進める事に同意と報道されています。薮から棒に防衛・軍事関連の交流を深めることがどういう経緯で出てきたのかいまいち腑に落ちません。
http://news.mynavi.jp/column/defence_industry/070/
http://www.news-digest.co.uk/news/news/uk-news/8833-2012-04-12.html

個人的な仮説としては、英国からの対日輸出が減る事に対して、防衛産業製品を輸入で補填してくれという要求のように思えます。
具体的には、日本で出た使用済み核燃料は、イギリスおよびフランス等で再処理され再輸入されています。また、プルトニウムを混ぜたMOX燃料の大部分もそれらの国で製造してもらい輸入しています。原発が止まるなら、この分を肩代わりせよと考えているのかもと。
また、もう少しググってみますと、イギリスのMOX燃料が閉鎖されていたそうです。相手先が日本しかなくて困ってるというのはあながち間違ってないように思えます。
http://www.jnfl.co.jp/business-cycle/5_kongou/kongou_03/_03_02.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nuclear/articles/110803_Guardian_Sellafield_Mox.html

さて、冷静に考えて、防衛関連のトピックとしては、次期FX(航空自衛隊の次期戦闘機選定の事)でF35という戦闘機が選択されたという経緯があります。これは、アメリカが中心として開発したモノですが、英国も共同開発に加わっています。すなわち、FXにF35を選択したので、共同開発したイギリスとも仲良くしましょうということでは理解できます。またFXでは欧州共同開発を行ったユーロファイターも候補としてあがっていました。イギリスはロールスロイスやBAEなどの航空機・防衛も大きな産業としてあるため、対外輸出を進める上では重要です。(と言われているんですが、いまいち統計に現れない)。。。
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-X_(航空自衛隊)

そこで、イギリスからの輸入統計を見ますと、「濃縮ウラン、プルトニウム、それらの合金」が構成費で3.2%を占めています。これは、アメリカ・フランスについて日本の相手国としては3位。使用済み核燃料の再処理であるならば、本来日本からの輸出統計に出ててもいいはずなのですが、日本からイギリスの輸出統計上は、使用済み燃料とは出てきません。これは、再加工品という、いったん原料を輸出して加工して輸入する場合の物品にあたるのかな?とおもっています。
また、2011年度計では、前年の倍に急増しているのも興味深い点です。
http://www.jetro.go.jp/cgi-bin/nats/cgi-bin/search.cgi

また、古い資料ですが、海外での核燃料再処理については、再処理契約にあたって当時の通商産業大臣に電力会社から許可の申請を行うのですが、この場合の許可申請の名称が、「逆委託加工貿易許可申請」というもの。契約の終了は明記されていないし、当時の段階では廃棄物の価格は政府から答えられない、とあります。どうなったら契約終了なのか、また、契約期間に仕事がない場合どうなるのかは、ちょっとよくわかりません。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumona.nsf/html/shitsumon/134022.htm

では、ここではイギリスとフランスを比較して、なぜフランスが同様に戦闘機のラファールとか売り込みにかからないのか。もちろん、サルコジ大統領は事故後すぐ日本入りして原子力関連技術の協力を申しいれていますので、圧力はかけているのかも。また、今は大統領選なので、そんな事気にしてないのかも。
さらに面白いのは、フランスからの対日輸出について、「濃縮ウラン、プルトニウム、それらの合金」の項目も2.3%で比較的上位にはあるのですが、それよりもワインの対日輸出額の方が多いのです。ワインとスパークリングワインで対日輸出額の6.2%を占めており、経済へのインパクトはそれほどでもないのがアセってない点かもしれません。

さて、原発再稼働云々というのも、観念的には安全性とか経済性とかの問題がありつつも、背後には世界的な核物質のサイクルの中で止まる訳にはいかないという考慮があるのではないと思われます。
原発止める→核燃料いらない→核燃料の輸入が止まる→輸出国困る→代わりに武器とか買って(今ココ)
という状況にあるとも推察できます。うーん、なかなか悩ましい。そのかわりに輸出入できるモノがあればいいのですが、例えばイギリスからの食品等で頂きたいもの&ワインほど活況となるようなモノがあんまりない。このままうかうかしていると、三角貿易のアヘンのようによくわからないモノを買わされる恐れが無いとは言えません。

ここで、デザインという観点から考えるならば、モノではなくサービスなどの交易を活発にする事に活路があるようにも思えます。例えば、デザインという業自体の交流を進める事によって、モノの価値の浮揚を計るとともに、日本人デザイナーとしてはツラいところですが、英国にデザインを発注するという態度も今後必要になって来るかと思います。
目に見ないという意味では、金融も重要になってくるし、観光もあり。さらに、あくまで防衛というモノから切り込んでくるのであれば、平和維持や災害支援に特化した防衛品のデザインという交流を進めることも可能ではないだろうかと考えます。

以上のように、核燃料を巡る大きな妄想を基にイギリスと日本のまつわる考察。
今年の夏はイギリスのおいしいビールでオリンピック観戦といきたいものです、が、スパークリンクワインも捨てがたい。。。

(画像出典)

http://www.army-technology.com/contractors/electrical/rolls-royce-power/rolls-royce-power4.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/フランスワイン
http://ja.wikipedia.org/wiki/セラフィールド

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