医療機関で働く方に賞与がでないという報道に腰を抜かすほど驚きつつ(撤回されたようですが)、抗体検査でできるぞということで、抗体について調べてもみたし検査を受けてみました。残念ながら白だった顛末と考察です。結論からいくと、検査ってもうちょっとどうにかならんかねという素朴な思いと、医療経済となんぞやという昨今の報道に思うことです。
なお、抗体検査は過去の感染があったかないかを確認する検査なので、陰性であることが今現在感染していないことの証明にはならいいのでご注意。また、検査結果がどうであっても基本的な予防として、マスクして三密避けて、手洗いするのは引き続きです。
抗体検査、誤解相次ぐ 「現在の感染」はわからない(写真=共同)
1)きっかけ
さて、近所を歩いていたところ「抗体検査やってます」との張り紙がクリニックに貼られておりまして、抗体については先日調べたこともあり、受診を決意。なお、行ったこともないクリニックに飛び込むかたちで、マーケティング的にも興味深い案件です。
2)どういう処置だったか?
予備知識はなく、抗体検査ってきっと指先に針を挿して、検査キットにたらすと色が変わってすぐわかるもんかな、と思ってクリニックで受付をして待っていたところ左にあらず、「採血しますねー」と言われ、針刺される心構えのない食生活と心持ちだったので急に不安にかられました。結果、普通の血液検査の量なのか少なくとも数ccは血を抜かれました。
採血後、お医者さんと面談して、熱はありますか?ときかれてないですとお答え、現在の感染はわかりませんよー、結果は数日、1週間あればわかります、とのことでした。イメージとしてはすぐわかるものと思ったのですが、検査会社に出すということで、そうなんですねー、といってお支払いで帰宅。
保険は効かないとのことで6600円なり。この6600円は高いのか安いのかはわからず。ちなみに、受付のお姉さんに、検査って結構あります?と聞いたところ、まあまあありますよ、私たちも検査しました、全員陰性でした、とのことでした。そうなんですねー、と挨拶して帰宅しました。
3)抗体検査の結果と検査を読むよ
きっちり1週間後にクリニックを再訪。検査時と少し時間がずれていたためか、結構な待ち合い状況でした。お医者さんに検査結果を見せてもらいながら、陰性ですねということで、感染歴はなかったということを伝えられました。以上で、検査結果を持ってご帰宅となりました。なんだか、ガチャが外れたというか残念な気持ちです。ビクビクしながら生活を続ける必要があります。
クリニックや病院は、きっと感染疑いの方が確率論的には多いんじゃない?と思いつつ、市井のクリニックの受付のお姉さんは陰性だったがごとく、騒がれる前に感染発症していたということもなさそうな身近な結果で、集団免疫が形成されれば再拡大しないのではという疫学的な見立ても、これも身近な例で行けば敢なく潰える結果かと思う次第ではあります。
なお、検査結果の用紙を読むと
「SARS-COV-2抗体
COI 基準値 1.0未満 結果値0.1未満
判定 陰性」
とありまして、COIとはなに?がわからず調べますと、cutoff indexというものらしく、抗体の有無を判断する値、ということかと思います。ただし、ドンズバの定義が英語で検索しても出てこないため、なんとももやっとしております。
参考:
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1542103633
また、こういった判定がなされる検査は、おそらくロシュ社の検査方式では?と思われます。
参考:
https://diagnostics.roche.com/jp/ja/products/params/elecsys-anti-sars-cov-2.html
なので、IgMとIgGのあるなしも今回の検査結果だけ見てもわからないのと、IgMは他の感染症等でも高まるのではと考えられるため、そこはあんまり気にしても仕方がないのかなと理解しております。
4)病院における検査はとはどうやって行われており、どんな経済なのか
うっかり検査と一言でいってしまうと、なんでも検査なのですが、整理すると、生体検査と検体検査があり。生体検査はすなわち生きたままのナマの状態を観察して検査すること。レントゲンはこれにあたります。一方、検体検査は、体から採取したものを対象に検査すること、だそうです。抜いた血はすなわち検体ということになります。
大きな病院であれば、なんとなく検査を受けたらすぐ結果が分かりそうですが、小さなクリニックでは、検査の内容によってはすぐに結果はでなさそうということはイメージできます。今回の検査体験はまさしくそうで、どこかのラボで検査されてるんだろうなと思います。
では、で調べてみますと、検体検査の実に約97%が外注と言うことで、ほぼほぼ外注と言えます。外注を出す先は衛生検査所というところで、これは品質を担保しているのが登録制の施設ということです。民間でもやっている。特殊な検査や大量の検査を小さな病院で一々実現するのは、考えてみれば非効率的なので、社会的にも検査を集約するというのは意味がありそうです。
参考:医療関連サービスの実態調査結果の概要 資料1 医療関連サービス委託率の推移
保険診療であれば、検査の報酬が決まっているはずなので、ある程度の価格感は統一されそうですが、COVID-19の抗体検査は今のところ自由診療で各クリニックや病院が案内しているようなので、実際の病院で支払う価格と、外注先に出す検査費用にどれくらい差があるのかは一般市民ではブラックボックスではあります。ググってみますと、1万円ぐらいから3000円ぐらいまでと、価格差がかなりあるのと、検査方法に費用の違いがあるのかも今ひとつわからないところであはります。
5)その上で抗体検査のやるべきやらないべきかと、健康になると儲かる仕組み
冒頭に書きましたが、医療機関の赤字などの話を聞くと、おそらくは、みんなが病院にいかないから売り上げが上がらない&新型コロナウィルスを受け入れると赤字になる、というなんともはやな状況なのかもしれないと推察しております。
であるならば、まずは、近所の病院等の経営が安定する施策として、自由診療の範疇の抗体検査で「客寄せ」するのはアリと思いますし、協力できるならした方がいいなと思っています。その上で、あまりに検査費用が高い病院やクリニックは、怪しいのではとうっすら判定できそうです。つまり、検査方法次第なので、なぜ他と比較して高いのか、を聞くとかするとより良いと思います。
一方で、医療界全体が安定するかというと、極端な考え方では、みんなが健康になると医療が経済的に崩壊するのでは、といった側面があるのではないかと考えさせられる事案でもありまして、医療と経済は一筋縄ではいかないぞと思う次第です。
経済がインセンティブになるのであるならば、みんなが健康になるとお医者さんが儲かる、がいいなとは思いつきます。