のるかそるか

米国債デフォルトが最近気になるキーワード。

報道によると、米国の連邦債務が財政規律上制限されている上限に達しそうになっており、8月2日までにその上限を引き上げなければデフォルトに陥る可能性があるとのこと。

ええと、いろいろとよくわからないということで、全く経済をやってない、かつ、特にあらたにリサーチをするわけでもないのですが、一つ一つ噛み砕いてみる。

まず、連邦債務とはなにかというと、米国財務省が発行する公債による債務。これは、政府が発行する債券、国債で、この債券を買う人は、債券額面分のドルを払う事によって、ある期間が経過すると利子を含めて償還される、というもの。
結果として、連邦政府は、税収という収入、あるいは、通貨発行量を増やすことなく、現金としのドルを集めることができる。要は使いやすいお金を手に入れることができると。
一方、債券を買う人にとってみても、単なる現金をもっていてその価値のみで満足するのではなく、将来利子を含めてバックしてくる資産として債券をもつことができます。もちろん、現金のまま持っていることによって、インフレによる価値の目減りのリスクがあり、これは国債にしても同じ側面はありますが、利率がそれを見越したものであることと、市中に現金が溢れるよりは国債としていた方がインフレリスクを少しでも下げれる、と考える事ができます。

次に、財政規律上、制限されているのあたりです。連邦債務が追っていい債務残高は、連邦議会にいよって規制されている。つまり、政府が勝手に公債をつのってはいかん、ということがまず一つ。もう一つは、公債発行を押さえるとともに、債務上限に達しないように債務償還についても一定のイニチアシブを持つ事になるといえます。
http://m-words.jp/w/E980A3E982A6E582B5E58B99E381AEE4B88AE99990.html

次にデフォルト、について。債務不履行と呼ばれます。米国債のデフォルトというのは、つまり、国債を償還できない事であると言えます。なんで国債を発行できないから米国債がデフォルトなの?というのが素朴な疑問ですが、通常、政府が行う公共サービス等は債券ではなく、なんらかの現金支出を伴うと。そのため、ある期日に支払いが重なると、現金がありまへん、ということになる。公債償還と公共サービス支出が重なる場合、資金がない、ということになるのかなと考えます。なので、実際には、新規の国債を発行する事によって、資金を得るとともに、償還期限を迎える国債に変わるように国債を販売することになると言えます。もっとも、こうする事によって、利子分が確実に借金となりますし、公共サービスにかかる歳出が税収等を下回る場合は、これも国債を当てる事になるためやっぱり借金になります。(さらには、そのギャップを埋めるためには、通貨発行量を増やしてインフレにして見た目の借金を相対的に減らす、とうこともあり得るのかも、、、などと思ったり)

それでも、経済が回っている以上は、借金も経済循環のなかのどこかに含まれているので、問題はそれほど無いと言えます。
ところが、いったんその国債の流れが止まると、すなわち、
1)償還期限を迎えた国債が現金化できなくなる

2)国債を当てにしていた資金流動がなくなる
3)ドルの信用が下がる
ということなのかな、と考えます。つまり、1)の結果、2)の国債を当てにした資金流動がなくなるとは、資産を米国債で持つ魅力がなくなると。その結果、まず国債が売れなくなる。米国債を買うためには必要だったドルの魅力がなくなる。大量の米国債があるけれど、これが将来ドルとして償還されるかどうか不安になる。みんながそう思うと、お互いに米国債に価値を認めなくなる。格付け下がる。米国債を持つよりも別のものを持とうとするために、ドルが市中に増える、ドルが増えることで、相対的にドルの価値が下がる。ということなのかと。

そして、別の国で別のものが買えるはずである他の国の通貨が高くなる。例えば、米国債を買って利子を当てにするよりも、他の国の国債を買って利子を当てにした方がいいんじゃないかと考える。すると、ドルと他の通貨を交換し始める。みんな買うから、いままで1ドルで100円ゲットできていたのが、80円しかゲットできなくなる。ということで、今急激な円高になっているのかな、ともこれで考える事ができる。

さて、ここまでをふまえて素朴に考えると、あたりまえに、すげー借金増えるのになんでそんな事やるんだろう、ということと、日本は何か影響あんのかな、ということ。

最初の疑問は、日本も同様なので人ごとではないのですが、国が存続していくならば、別に借金増えてもいいし、そもそも通貨の発行を増やしたりして永久に先延ばしできるはずである、という信念で実施できているんだろう、と考えます。すなわち、これも大雑把にいってしまえば、すくなくとも自分の生きているうちには、破綻しないという信念と、それを信用する周りの人々、という関係とも言えます。

次に、日本への影響ですが、米国債の価値がなくなったとすると、いままで貿易で稼いできたドルがなくなっちゃう、ということになってしまいますが、まあ、そう簡単に価値ゼロにはならないとおもうので、当面は円高の影響が顕著かと。ドルの資金の逃げ先として円が買われたり、日本の国債が買われるようなことがあれば、それはそれでよしとして、他の通貨を基軸として別の地域で商売をして、円の経済圏とは独立の商業をおこなうことが加速しそうな気がします。つまり、日本における商売は、日本の円での経済圏と、日本以外の経済圏とでどうも分離しそうな心持ちです。

さらに、じゃあデザインとかモノづくりとかどうなんのとかも考えられるのですが、取り急ぎ、このあと、午前2時から米国ではこの問題で再度議論が繰り広げられるそう。のるかそるか、それが問題。


15%とクーラー自転車

飲み物
話と関係あるかというとさほどないっす。

明日から東京では15%の節電となり、事業所単位で節電される、という事になります。日々収まっているビルでも当然節電対象となり、節電のおふれが出ています。(とはいえ、なぜが冷房がいい感じで効きだして寒くて体調を壊す、という昨今です。)

電気が夏場に不足する、っていうことは夏場はエアコンの電気使用量が増える事が一番の理由となると思われます。エアコンは電気を喰うから仕方ないよね、と思う反面、エアコンって別に電気を使わなくても動くんじゃないだろうか、といううこと。

ググってみますと、簡単なエアコンの模式図が見つかりました。要点は冷媒と呼ばれるガスを圧縮したり膨張させたりして、熱の移動を行っている点。圧縮されたガスが気化するときに気化熱を環境から奪う、そのためにお部屋が冷える、という仕組みです。そして、その気化した冷媒を圧縮する。で、この際に圧縮されるので熱くなる。これを室外機の中にあるコンデンサと呼ばれる凝縮器にまわす。この際、外気温よりも高い温度であれば熱の移動が行われるので、熱を外気に移動する事が実現する、ということです。

クーラーはなぜ冷えるの?

この際に電気が使われるのは、主に冷媒を圧縮する圧縮機と思われます。二次的に冷気を送る室内のファンと、コンデンサに外気を吹き付けるファン。
つまり、電気でなければできないような電位差を用いた物理現象というよりも、熱力学に基づいた「機械」であるのです。

コレをふまえると、いろいろな損得を度外視して、純粋に電気エネルギーの節約だけ考えれば、ガソリンエンジンでも実はクーラーは実現できてしまうのです。ここまで思い至って、再度ググってみますと、機械式の冷房というものがあり、自動車やバス、鉄道車両で実装されているそうです。し、しらなかった!

機関直結式冷房装置 – Wikipedia

もちろん、じゃあお部屋に一台ずつつけますか、っていったらとんでもない騒音と排ガス問題に直面するので、現実的では無いかもしれません。しかしながら、100%ナンセンスマシンになってしまいますが、自転車を漕いでで冷房だってできるんだぜ、ということは知っていてもいいのかも知れないですね。

エアコン自転車
自転車でエアコン動かすの図

節電だから冷房を切るというのではなく、電気使わなくたって冷却できるってことを考えたくなる、夏の始まりです。


半島

恥ずかしながら原子力発電施設を見た事がない、ということで、先日原子力発電所への接近。実家のある福井県は原発銀座と呼ばれる原発立地地帯。

場所は、福井県敦賀市。敦賀半島には、敦賀原子力発電所、美浜原子力発電所、高速増殖炉もんじゅがあります。もちろん、電車でアクセスできないので、レンタカー。

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原子力館からの眺め
原子力館からの眺め
正門付近
正門付近、原子炉建家が見えます。

まずは敦賀原子力発電所です。敦賀原発は東電や中電などの電力会社ではなく、日本原子力発電という会社が運転しているものです。
敦賀市内から一本道で半島の先きの方までいくと、原発の正門前に。もうちょっと進むと原子力館というPR施設があるので、そちらに駐車。正門前をぶらぶらして散歩。驚いたことに、取水口の上に道路が走ってます。そして、もうひとつ興味深いのは、協力会社のスタッフの通路が別に設けられてました。

取水口付近
取水口付近
もんじゅ
もんじゅ遠景

次にもんじゅに。半島を横切るトンネルで移動。こちらも道路一本でアクセス。正門前まではアクセスできます。しかしながら上手く見える場所が無いのでぐるっとしてみると、砂浜から良い眺めです。
現状、炉内のつり下げ機構の破損事故で大変深刻な状況ですが、拍子抜けするようなのどかな雰囲気です。
少なくとも、特別の警備状況がしかれていたようにも見受けられませんでした。

美浜原発
美浜原発、逆光ですが。

最後に、美浜原発に。美浜原発は、関西電力の運転する原子力発電所で、こちらは関西地方のへの電力を供給をおこなっています。
こちらは、半島のさきっちょに島のようになっている場所に3基の原子炉があります。こちらもPRセンタと併設されているのですが、そこから原子炉の敷地までは橋でつながっています。陸路は一応あるのですが、湾を一周する道路で、かつ地図を見る限りちゃんとした道路はない。

 

こうやってぐるぐる回っていた日は、まず敦賀原発2号機で一次冷却水の放射性物質濃度が上昇したため、7日から運転停止、9日には放射性ガスを排出しています。調査を進めるそうです。
美浜原発に関しては、5月4日、海江田経産大臣が視察。駐車上になんか記者っぽい人がいたと思ったら、そういうことかと納得。結果的には西川知事は現時点での原子炉再稼働を認めない、というスタンスに。
最後に、もんじゅに関しては、来月にも問題の炉内中継装置の修理工事が始まるそうです。こちらは、全く事態が今後どのように推移するかは未知数といえば未知数。

以上、個人的に見たものと、現在の状況についてざっと概観です。

いくつか気づいた点、

1)モニタリングポストの値が目につかない
PRセンタとかは、放射線量が表示されているものと思ったのですが、意外と目につくところに線量が表示されていない。また、表示単位がグレイの古い単位系で、昨今言われるシーベルト表示ではなかったり。わかりづらい、、、。
たとえば、敦賀原発正面のPRセンタでは原発自体は見えますが、線量は当然見えない。さらに、トラブルがあるとの報道の翌日なので、なにか出てるか気になりますが、なにもわかりません。
こういう意味では、現場にいるよりも、ネットで公開されている値を見た方がよいんじゃないか、とおもいました。

2)交通僻地
半島の先きで、道路が1本でどんずまりの場所では、物資の陸送もこの道に頼らざるを得ないと思われます。しかしながら、崖崩れなど道路が封鎖された場合、陸路が封鎖される可能性もあります。
すると事故が起き、かつ道路が封鎖された場合、迅速な物資や人員の移送が困難になるのではないかと想像できます。逆に避難もできなくなります。
海に面しているので海路があるとは言えますが、積み替えの問題などもあります。また空路を使うにしても、積載量と天候の問題があります。
それをふまえて調べてみると敦賀市長もその要望を出しているようです。しかしながらその整備は時間もかかりますし、何らかの自体に備えた機動的な輸送路を構想しておく事が必要かと感じました。ちなみに、直線距離では越前海岸の方が敦賀市街地より近い、です。

3)テロ対策
今は地震や事故時の対策だろ!というのはごもっともですが、テロ対策が十分だろうかと疑問にもちました。
そもそも、私のようにぷらぷらしている人間を職質するひとはいませんでしたし、原発敷地と一般人の入っていい地域が近い。直接的な施設ではないですが、開放禁止のゲートが開きっぱなしになっていたり、撮影禁止と止められても少し離れれば撮影を阻止できるものでもありませんでした。
また、海域直近で、かつ、近隣に大きな警察力や防衛力がありません。前述した通り、交通が限られるので、事態発生後、対応には一定の時間を要すると思われます。おそらく、物騒な妄想ですが、十数人の武装した集団が押し掛けた場合、それを阻止することができないし、対応が遅れるでしょう。
また、これも前述しましたが、敦賀原発の場合、取水口の上を道路が走っています。ここを破壊され取水できない、など冷却機能を奪われた場合、冷却水を循環させるといったことが可能としても、冷却能力は時間とともに低下していきます。
もちろん、テロとかそういう事をする以上は、何らかの目的をもった誰かがいないといけないく、現状それを実施するような人はいないと思われます。

このように、現場にいって実感する事もある、ということです。不安になるのは、ぱっといって思いついた事は、要は建設時にはじめっから想定されることです。ところが、この対策が十分とられていないように見える点です。さらに、その対応すぐにとれないとしたら、現実的な代替案があってしかるべきだと思われます。
1)の線量については、緊急時には防災無線等をつかって現状値をアナウンスしたり、道路脇など、線量計の表示をつけたらどうでしょうか。
2)の交通については、現実的には海路/空路の充実。空路については前線基地となるようなヘリポートとそこまでのアクセス。会わせて海路については、海保基地の活用などでしょうか。港湾設備については、敷地と輸送の天から空路/海路の拠点とするのに適切では、とおもいます。当然訓練。
3)については、民間人の武装ができないとすると、県警および海保の警察力を整備する。そして、具体的な後方には舞鶴の海上自衛隊の方々、かと。ただし、テロ発生時の一義的な対応者は警察となりますが、テロ行為があり、かつ、原子力発電所災害が起きた場合、治安出動なのか災害派遣なのか、その際の指揮権についても申し合わせておく必要はありそうです。

ということを記載して調べてみると、いろいろ出てきますね。。。
テロ対策大丈夫?“厳戒”敦賀原発の倉庫から配管4本盗難(読売新聞) – goo ニュース
米が日本の原発テロ対策に憂慮

いずれにせよ、想定外は起きるということを想定しながら、人が起こすかもしれない問題について打てる手があるなら対応策を想像しておくことは重要かと感じた半島一周。