Category: 研究

よいお年を2012

本年も大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いもうしあげます。

ということで2012年から2013年へと年が改まるわけですが、前回の更新からは選挙があり、原子力政策が推進側へと舵が切られそうな気配となりました。
新閣僚に聞く】茂木敏充経済産業相 原発再稼働「国が最終的な責任を持つ」 – MSN産経ニュース

12月27日の茂木経産大臣の閣僚記者会見では、着工している原発については建設容認、また、新設についても政治判断とするといった発言があります。
個人的には、新規着工や運転再開は、使用済み核燃料保管プールに空きがなくなる、核廃棄物処理についての計画も不十分という現状では現実的ではないと考えます。なので、商業的な原子力発電は廃止するべきと考えます。
しかし、原発ゼロを目指すというのも反対で、核廃棄物処理技術、廃炉技術や核種の転換技術を開発するにあたっては、原発というよりは原子炉を保持することは必要と考えています。
原子力発電というシステムを海外に輸出するとかいう意図もあるのかと思いますが、燃料処理や廃炉技術、核惨事への対応方法といったバックエンド技術を世界に輸出するということのほうが、世界への貢献としては大なのではなかろうかと考えます。

一年いろいろ考えたところの個人的スタンスは上記になります。

で、話はかわるようですが、年末にかけて日航123便の事故について調べものをしていました。というのも、あんまりよく知らなかったのですが、123便の事故は放射性物質輸送中におきた事故でもあるらしいといったことから。ちなみに、この放射性物質輸送については、結局どうなったの、というのが実はよくわからず、、、で、その調べ物の過程で、日航123便事故と、福島第一の事故は類似点があるぞ、とおもった次第です。
日本航空123便墜落事故 – Wikipedia

以下はおまけみたいなものなので、お時間ある方どうぞ。ここまでのかたは、ひとつ来年もよろしくお願い申し上げますー。


新年もので調べたらこんなものが、何だこれは!
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東と南の間のアジア その4 亜細亜核再処理公社

 

light
東南アジアにおける原発計画

さて、以上旅行してきての事だったんですが、両国に共通しているのは、原発はまだ稼働をしていないですが、これから原発保有を検討/計画しています。
マレーシアでは、都市部で発展していますが、地方を含めこれからも電力需要は増えていくものと考えられます。
また、ベトナムについては、停電を体験したように、電力供給は不安定です。さらに、まだまだ発展の余地がある地域だけにやはり電力需要は増えていくでしょう。
おもしろいことに、資料によるとベトナムは中国から電力を幾分輸入しているそうです。日本に住んでいるといまいちピンときませんが、大陸で国境を接している国同士は、当然ながら電力を融通する事が可能といえます。
従来は水力、火力という電源を用いていたけれども、安定的な電源確保という観点から原子力発電所を保有しようとすることもうなづけます。また、エネルギー安全保障の観点からも、電源輸入は一つのオプションとして保持しておくが、供給を絶たれても十分な余剰電力を準備しておくことは重要であろうと考えられます。
しかし、、、これらの計画ですが、放射性廃棄物処理については検討段階であり、研究炉の燃料等は補完しているらしいけれども、本格稼働時の処理については、まだまだ見通しが立っていないような状況に見受けられます。
噂レベルで資料は見つけられないのですが、ベトナムと日本との間で結ばれた日・ベトナム原子力協定において、提供する核燃料を日本に返還する約束になっていると、一部で話題になっていました。これは明文化されておらず、そんなことは無いと思われます。


マレーシアの明かり

当事国の考えてる事
しかしながら、別途調査時のベトナム側のベトナム放射線・原子力安全規制庁での調査で、下記の考え方が示された記述がありました。
「将来、極低レベルおよび低レベルの廃棄物は埋設処分する予定である。使用済燃料の処分は ベトナム国内では難しいため、原則的には返還したい。」
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2012fy/E001879.pdf
86ページ

うむ、、、という感じですが、持ち込む以上持って帰ってね、という事かと思われます。これは、かつて米国からの提供された研究炉の燃料を米国に返還した例に似ています。つまり技術移転にともなってノウハウや資材を提供するけれども廃棄物の面倒も見るという立て付け。

どの国も原子炉を保有したい、また保有している国があるという状況で、各国が個別にその核廃棄物を処理するのを原則とするのは仕方が無いかとも思われます。

 

国際共同運用という一つのアイディア
ここで、いずれにせよ地球的、また、後世にわたって影響を及ぼす核廃棄物処理に関しては、国際協力によって技術や知識の共有化を計り、当代で最高の安全水準を維持する取り組みが望まれます。
さらに、ですが、一歩進めると、国際間で核廃棄物処理にあたるという事で、廃棄物処理を請け負うという貿易形態も、実は有り得るのは無いかと妄想もできます。亜細亜核再処理公社的なものの設立なんていかが。
すなわち、現在イギリスやフランスに委託している核廃棄物処理、現在六ヶ所村でも進んでいますがバックエンド処理プラント、これを国際共同運用する事によって、廃棄物処理による貿易なんてどうだろうかと考えます。

もちろん、これを実現するためには、民意形成、技術開発、国際協定等必要ですし、そもそも原発を使わないと発生しない問題ではあります。
日本に関して言うと、もう処理しないといけない核廃棄物はたくさんあるので、それは対処しなければいけない。一歩進めて、日本で引き受けますよ、といったら世の中どうなるだろうな?などと想像します。
こういう施設を、領有が問題になっている、竹島であったり、尖閣諸島だったり、人が住んでるのでアレですが広大な土地がある択捉なんかにつくったら、ぐうの音も出ないのではないか思います。

などとぼちぼちと考えてみたのですが、東アジア、東南アジアは遠くはない世界。関心は尽きません。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_noda/vietnam1110/pdfs/6.pdf
http://www.jaif.or.jp/ja/asia/malaysia/malaysia_data.pdf
http://www.tokyo-trade-center.or.jp/TTC/hands_on/deskrep04.pdf
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000429/vn_energy_report2011.pdf

時間とオメガと核変換

消滅処理の参考図

古い文献からの参考図

1. 時間について
911から11年が過ぎ時間は何かを解決したのかなと思ってみたり。時間でしか解決できないことの一つとして、放射性廃棄物。

放射性廃棄物の影響が半減する半減期は、放射性物質それぞれ異なっており、何万年や何億年にわたるものもあります。そのため放射性廃棄物処理は子々孫々にわたるまで影響を及ぼしてしてしまう。これが原子力に関わる以上さけて通れず、また、時間の流れとともに移ろう物理的に定められた宿命であると。

以前取り上げましたが、最終処分にあたっては地層処理といって、数百年数千年と放射性廃棄物を頑固な地盤の地中深くに埋没させることによって管理、あるいは、放置するという事が核利用をしている各国によって計画実施されつつあります。

が、左にあらず。時間しか解決できないと思われる事を、人智を持ってしてなんとかしてる事が可能であるらしいです。
それが、オメガ計画と呼ばれるもの。時計じゃないよ、都市伝説だよ、とも思っちゃう命名ですが、国主導で計画されていたたいそうまじめなプロジェクトです。(じっさいは、現在進行形なのですが、とんと話を聞かないのです)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/オメガ計画

2. オメガ計画っていうか、そもそもなに?
具体的にはどのような計画であるかというと、放射性廃棄物を分類し、有用な物質を取り出し、また、超寿命の核種を物理的操作を加える事によって、短寿命の物質に変換させることによって、廃棄物量を削減し、また、社会に与える悪影響を減少させる技術を開発し実用化しようとするものです。

そんな事できるのか?という疑問が湧く訳ですが、そもそも原発でエネルギーを取り出す操作は核分裂反応を利用しています。すなわち、ある物質を違う物質に変換しています。この結果として、質量数235から統計的な分布にそって、ストロンチウムやセシウムといった質量数の異なる物質が生成されています。

素朴な発想として、結果としてでてきた放射性物質をもう一回分裂させるなり何なりして別の安定した物質に変換する事はできないのだろうかと考えます。このことを核破砕反応と呼び、その処理を核変換処理と呼びます。また、こういった処理は消滅処理とも呼ばれていたのですが、ちょっと言い過ぎじゃない?ということでこう呼ばれています。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=05-01-04-02

より詳細に説明すると、原子炉内の燃料が燃えつきた使用済み燃料由来の高レベル放射性廃棄物は大きく二つに分けられるそうです。一つは、核分裂性生成物。これは、ウラン燃料等が分裂した事によって生まれる物質です。もう一つは、マイナーアクチノイドと呼ばれる物質で、ウランやプルトニウムが中性子を取り込み崩壊する事によって生じます。

これを実現するにあたって、例えば高速増殖炉を使った方法や加速器を使った方法が検討されてます。どうやら、核物質もどうにか処理できるんでは無かろうかと思えてきます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/原子核変換

3. 夢のような技術、で実現は?
この処理を行うにあたって、高速増殖炉をつかって中性子を得ようとした場合、臨界状態になるため原子炉稼働になります。また、ナトリウムといった反応性の高い物質を冷却剤として使い、まだ実用化にほど遠いのが現状。
また、加速器を使った処理を行うには、陽子を加速するなどするには、それ自体で莫大な電力を使うので、その発電はどうするんだ?みたいな状態になります。また、概念設計では液体ウランをつかう、陽子がばんばんあたる、といった環境の中を耐える材料というものがまだない、という状況です。
研究は進んでいると理解できますが、実用化のめどはほとんどたっていない、というのが実情でしょうか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/加速器駆動未臨界炉

4. しかしながら
以上の状況から、やはり現実は放射性廃棄物と共に暮らすというのはやはり変わらない状況です。また、昨今のエネルギー政策では、今後の原子炉の稼働期間に制限を付け新規配置は行わない、とするとか。さらに、日本学術会議という、学術経験者や有識者からは、放射性廃棄物の何万年にもわたる地層処理はどうなるかわからないのでやめたほうがいいよ、と提言されたそうです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120909/k10014891591000.html
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG1003J_R10C12A9EB1000/
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-k159-1.pdf

危険性があったことは認識済みで運用してきたにもかかわらず、自然エネルギーへのシフトなどのエネルギーの問題に誘導しようというのが個人的には納得がいきません。問題は安全の回復であって、原子力から撤退することで、核廃棄物処理の技術開発からすらも撤退する結果になりはしないかとハラハラしています。廃炉する方針であるならば、廃炉に伴って生じる核廃棄物の処理について、最大限何ができるかを同時に検討する事を織り込まないと話にならないのでは。

また、日本学術会議からの提言は、政策の検討をするにあたって、ようはコミュニケーションをとりましょうということなってます。ところが、原子炉を止めて研究できるかといったら有力な中性子線源となる原子炉を止めるわけには行かないし、加速器の電力を火力や自然エネルギーで十分まかなえるのかと行ったおそらくまかなえないはず。本来は放射性廃棄物処理の研究のためには原子炉必要と言わざるを得ないのでは?と思います。が、そうは言えないのではなかろうかと伺えます。

5. だからこそあえて反脱原発なのでは
そうすると、あまのじゃく的ではありますが、やはり、ここまで原子力推進をすすめ、そして福島の事故を経験し、かつ収束処理まで手がけるようになってしまった日本は、世界に対してどのようなスタンスを示すか正念場だと考えてます。
だからこそ、人類が手をつけてしまった原子力とそれに伴う核廃棄物処理について、真剣に問題解決をしようとする姿勢をしめし実行するべきなんじゃないだろうかと考えます。私は商用原子炉の大部分を止めるとしても、本質的に脱原発には反対します。もはや抜けれる訳が無いだろうと。

発電という利得を求めた技術開発から、人類の安全を守るような強固な技術開発を進めるべきでは無いだろうかと思います。よって、武力や経済利得といったパワーを求める核技術から、核のパワーに立ち向い安全を確保する技術開発に国力をつぎ込んではと。ちなみに、昨今話題になる東アジア情勢ですが、大規模な加速器等の実験施設を運用しているのは東アジアでは日本がやっぱりダントツ。国際的に名誉ある地位を保たんとするならば、こういう戦いかたがあるんではなかろうかと。

などと熱くなりますが、いかんせん、調べものの結果みつけた加速器でかい!かっこうぃい!という単なる男子的発想なのかも知れないと思いつつ。しぶとく11年も1年半も過ぎる時間に思いを馳せる秋の夜長です。

大飯高浜マンション

高浜

海から眺める原発

ニッポンの夏、ということで、仕事がお休みのかたがいらっしゃるかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?

とはいえ、そんなところで原子力関連のモノゴトを個人的興味に基づいて調べごと。今回は外回りです。ちょっと遠いぞということで行く機会を逸していた、福井県の大飯原発、高浜原発あたりに行ってきました。

以前、敦賀半島を一周し、敦賀原発、美浜原発、高速増殖炉もんじゅはどこにあるの?を調べてみましたが、今回はより西のほう、京都府に近い原発です。

大飯原発

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場所はこちらです。再稼働に揺れ、盛んに報道をされていて現在どうなっているんだろう?!とドキドキしつつ、実際どうなっているかは調べずに行ってみました。

大飯

大飯原発前は静かなもんです

で、結論からいくと、だれもいない。。。稼働中だからこそ監視する、という人がいるのかな?とも思ったのですが、警備の方がいらっしゃるのみ。附属の広報施設があるのですが、これも臨時休館でとにかく敷地内には立ち入れない。周辺の山道ですら警備の方がいらっしゃってどうやら立ち入れないなぁというかたちでした。

また、行ってわかったのは、陸地からアプローチしても大飯原発の原子炉建屋は外部からは全く見えない。ということでした。少し離れた入り江の海水浴場からも、伺い知る事は困難。

また、あらためて地図を見ると陸からのアプローチはトンネルを抜けないと行けないようなつくりになっています。一体どうやって建設したんだろうか、と過去の建築工程表をさかのぼりたくなる気持ちでいっぱいです。

高浜原発

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大飯原発から次は高浜原発へ。地図はこちら。見ていただくとわかるのですが、入り江を挟んで西の反対側、直線距離にすると10kmほど離れたところにあります。ここも見づらいのかな、とおもったのですが、以前の敦賀原発に続く衝撃。

高浜橋の上

テンパってますが取水口の上を走ってます。

取水口の上の橋を通れます!一般道から直線距離で100mほどでしょうか、原子炉建屋を視認できます。

また、ちょっと離れた停車場からも発電所が見えるので、原子炉マニア?にはかなりぐっとくるものがあるのではないでしょうか。直接関係はないのでしょうけれど、保税用のエリアのある湾口もあるので、僻地感がそれほど無いです。身近に感じた方がいいのかわるいのかはわかりませんが、高浜原発は巨大プラントを間近に感じるにはうってつけな場所だなぁと感じた次第です。

門の前

高浜の前

ちなみに、こちらは附属するような広報施設が近くにはなく、純粋に発電プラントとして立地しています。

ここに移動するにあって、道路を眺めていても、やはり放射線量が確認できるような装置は一カ所しか見かけなかったです。見落としがあるのかもしれないですがやはりちょっと少ないように思います。

思うところ
そして、やはり今回も思うのは、原子炉までの交通アクセス。道が一本しかないために、緊急時の移動の際に道がつぶれたら終わるぞ、という感想。そのため、海上からのアクセスはどうなるかと考えます。高浜原発の場合、比較的大きな港湾施設がありますが、大飯原発は所内の港湾施設のみ。
google map の航空写真を見ると、ヘリポートとして利用できそうな空き地が大飯原発には確認できますが、一方高浜原発はヘリがおりれそうな空き地がちょっと離れたところにあります。緊急時のアクセスが不安で仕方が無いです。

ちなみに、緊急時というのは、なにも自然災害に起因する訳ではなく、ある意味ではアクセスが良く、また人のいないところで海に開けているがために、テロ行為や犯罪が行われた場合の警察力や防衛力の行使が困難であるぞ、ということもあります。

福島第一の場合は、開けた土地に立地しているために、南北そして西から多様にアクセスができますが、若狭湾に面した原発群に関しては、本当に片側1車線の道があるのみ。大量の車両や重機を一気に陸上移送することが困難だろうと推察されます。

ミスリード
で、じゃ重機はと重機と調べ物をしていたところ、奇妙な写真を見つけたので、ご紹介。関西電力からリリースされている資料なんですが、写真になにか違和感。

こちらは、福島第一原子力発電所事故を踏まえたシビアアクシデントへの対応に関する措置に係る実施状況(概要)という資料。事故の際にがれきが散乱して作業が難航した事から、ホイールローダという重機を配備した、という報告書。写真は美浜発電所の例とあります。
http://www.kepco.co.jp/pressre/2011/0614-1j.html
http://www.kepco.co.jp/pressre/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/06/14/0614_1j_01.pdf

で、こちらは、高浜発電所2号機の安全性について(安全確保対策とストレステスト評価) [PDF 2.75MB]という資料。こちらもホイールローダーの記載があるのですが、どこに配備されている写真なのかは記載がない。高浜原発の資料なので、高浜原発での写真かと思ってしまうのですがそうではなことに。
http://www.kepco.co.jp/pressre/2012/0803-1j.html
http://www.kepco.co.jp/pressre/2012/pdf/0803_1j_02.pdf

関電資料に同じ写真

あれ?

意図的なのかそれともちょっとしたミスなのかちょっと判断ができないですが、こういう資料を発見してしまうと、本当に安全対策を実施したのか、疑問に感じざるを得ないところです。

で?
こういった資料を発見し、また、原発敷地内で何が行われているのか窺い知れない以上、疑心暗鬼にかられるような思いでもあります。

ちなみに、ちょっと行ったところにある海上自衛隊の舞鶴基地では、見学も可能ですし、護衛艦を間近で見る事もできちゃいます。
原発を公共財として位置づけるならば、発電所公開といったことも実施する必要があるのではと思います。もちろん、だからといって私自身が原発大賛成になるかというとそういうことも無いんですが、実際どうなってるの?という疑問に対する答えが出ることが無いのがなんともぎこちなさがあります。

原発は、一度つくってしまった以上、稼働するにせよ、停止するにせよ、廃炉するにせよ、いずれにせよ立地している地域には、これからやっぱり何十年何百年とあり続ける事に変わりが無いです。ご近所付き合いと一緒で好き嫌いに関わらず、お付き合いしていく必要があります。
で、今回の結論としては、原発が核廃棄物の処理がままならないことからトイレの無いマンションと呼ばれていますが、お隣誰が住んでるかわからないマンションになってるのが原発の現状かと。

共犯関係

World map

あ、と気づけば更新できてないということで書きますよと。

大飯原発再稼働が決まり、GE日立の原子炉がリトアニアへ輸出されることが決まったとの報道がされるなど、ちゃくちゃくと原子力産業は元の活況を取り戻しつつあります。
日立、リトアニアの原発建設受注 福島事故後の輸出1号

そもそも原子炉って、自動車やテレビのように購入するものではないけれど、炉の形式やメーカーによって仕組みが違ったりします。
日本の場合は、沸騰水型原子炉BWRと加圧水型原子炉PWRとのほぼ二つの形式で、再稼働が決まった大飯原発はPWR、事故を起こした福島第一原発の主たる型式であるBWRとはことなります。で、つくってる会社もどうやら違うらしいぞ、、、ということで原子炉つくってるのどこよ?を調べてみます。こちらの資料が詳しい。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2010/siryo07/siryo2-4.pdf

日本においては、日立、東芝、三菱重工の3社が主たるベンダーです。が、1990年代以降、全体的に合弁統合が進んでいていろいろな変遷がある模様。

まず、日立は米国のGE(General Electric)と経営資本を融合して、日本法人としては日立GEニュークリア・エナジー社があります。日立がおよそ8割、GE社がおよそ2割の株主となっています。また、アメリカとカナダでは、ややこしいんですが、GE Hitachi Nuclera Energy という会社があり、こちらは日立が4割でGEが6割の出資比率だそうです。この連合はBWRの設計製造を行っています。
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
Nuclear Services – Power Plant Performance Services | GE Energy

次に、東芝はWH社(Westinghouse)を買収し、グループ会社化している状態。ただ、Westinghouseという会社はなくて、原子力部門の会社はWestinghouse Electric Companyという名前で、東芝の子会社となり、家電などはブランドとして存続しているだけであんまり関係ない、、、というなんともややこしい状態になってます。東芝はBWRをやっていましたが、WH社を買収することで加圧水型の原子炉にも対象をひろげています。

三菱重工は、PWRを手がけていますが、そもそもWH社のPWR技術を導入したもの、らしい。そこから独自に歩みつつも、最近ではフランスのAREVA社とATMEAという合弁会社をつくり共同開発を行っているらしい。
ATMEA Joint Venture – Home
areva.com – AREVA

日本ではおおよそ3社で原子炉をつくっているといえる状態です。しかしながら、すでにいくつかの海外のメーカーも出てきましたが、海外にも当然原子炉メーカーは存在します。次に、各国の原子炉メーカーを見てみます。

まず、米国から。米国は先ほどでてきたWH,GE以外にも、バブコック・アンド・ウィルコック社が原子炉メーカーとして存在しています。しかしながら、現在では発電用のプラント製造は行っていないそうです。どちらかというと、原子力船や原子力空母、原子力潜水艦といった艦艇のPWR原子炉をつくっているような会社となります。webを見ると、どかーんと原子力空母が搭乗します。
The Babcock & Wilcox Company

フランスには、先ほどのAREVA社があります。AREVA社はまたややこしいのですが、Framatomというフランスの会社があって、これがフランスの原子力政策によって、Cogemaというウラン採掘と燃料製造をしていた会社とを合わせて持ち株会社とした組織、ということになります。

ロシアは、アトムエネルゴプロム(Atomenergoprom)という会社が原子力発電所製造をおこなっているらしい。こちらも原子炉製造、核燃料製造、運転事業などの会社を含む持ち株会社だそうです。ちなみに、ロシア型の原子炉として、VVERというのがあるらしい。
ロシアの原子力発電開発 (14-06-01-02) – ATOMICA –
nuclear energy ? russian atomic energy complex ? home

ドイツには、シーメンス(SIMENS)という重電会社がありますが、かつては原子力発電所を製造していました。しかしながら、現在では事業をフランスのFlamatomに譲渡して、現在は製造は行っていない、という状況だそうです。

他にも、カナダ、中国、インド、韓国、イギリス、スウェーデンなどに原子炉プラントメーカーがあるそうです。

で、これを調べる過程で面白いなとおもったのは、原子炉プラントメーカーといっても、部品は関連の企業から入手しているのであって、独自でつくっているわけでもない、ということ。そして、原子炉の重要部品の原子炉格納容器や圧力容器の世界的シェアを占めているのが日本製鋼所という企業だということ。この会社は、刀鍛冶工房があるという、根っからの鍛造メーカーなんだそうです。昔の戦艦大和の主砲をつくったのもこの製鋼所だそうで、男の子としてはムネアツなのですが。。。この会社は、現用戦車の主砲なんかもつくってるそうです。この会社がなかったら世界の原子炉はつくれないかもしれないという重要企業なわけです。
JSW日本製鋼所:トップページ
日本製鋼所:世界の原発が頼る「刀匠」の魂?名刀の鋼技術で市場独占 – Bloomberg

さて、以上をふまえて考えたことですが、原子炉製造について、日本企業だけ勝手に手を引けない構造に既になってしまっている構造、原子炉の輸出という策略が世界で着々と進んでいるということ、そして、原子力共犯関係です。

まず、日本国内においてはおそらく今後原発から距離を置く世論になると考えていますが、企業の論理として原子力事業をおいそれと捨てる訳にもいかない。例えば、GEと日立との関係において、日立がやらないといってもGEがやりたいといったら、仕方ないやるか、という事にならざるを得ないだろうと考える訳です。日立GEのような資本比率であれば日立の考えが通りますが、GE hitachi(あーややこしい)の場合はGEの方が発言権が強く、推進せざるを得ない訳です。このように、企業体は日本固有の世論や政策とは別個の次元で行動するので、原子力プラント製造や輸出などの施策は止めることができないのではなかろうかと考える訳です。

原子力の輸出という策略については、原子炉メーカだけでは議論はできないのですが、Al Goreが温室効果ガスや地球温暖化、二酸化炭素排出権といった環境問題の提起映画にしたりTED(今日やってましたね、TED)というイベントで表明して一躍有名になりました。その結果、温室効果ガス削減のための原子力、という位置づけが登場。もちろん、これはAl Goreから直接提起されていた訳ではありません。が、これが2006年のことなのですが、今回調べた企業群はこのタイミングを中心として企業の統合が加速しました。その後ICPPのデータ改ざんといった事実も明らかになり、原子力を推進したい勢力の一大プロパガンダキャンペーンであったのではないか、と勘ぐりたくもなります。
Al Gore on averting climate crisis | Video on TED.com
最後に、経済発展著しいインド・中国をはじめ東南アジア各国、そして、東欧諸国やラテンアメリカなど、地域によって事情は異なるのですが、原発を欲している国や地域はやはり存在しています。それらニーズに応えるのは企業として当たり前。ではあるのですが、例えば今回輸出が決まったリトアニアについてはロシアへのエネルギー依存に対する恐怖というのが原発を欲する理由の一つだと思います。これは、一時期ロシアがヨーロッパ向けのガスを止めたことがあって、エネルギー依存をしているといつ首根っこつかまれるかわからないという恐怖体験をしたのでは。なので、ロシアの息のかかってない西側の原子炉導入をしたい、というのが心理として想像できます。でも、原子力売り込みとう目的で政府や世界の企業、利益団体が結託していたと過程すると、ちょっとした共犯関係を構築しているのでは無かろうか、、、などと妄想する事が可能。。。という恐ろしさ。
ロシア・ウクライナガス紛争 – Wikipedia

さて、以上をふまえて、じゃあ日本はどうなの?を考えると、昨日の官邸前のデモもありましたが、そろそろ国民不在は勘弁してくれというのが本音。世界にたいしても、原子力が事故を起こすようなことに加担して共犯になるのは嫌だというのが素朴な所感。だからこそ、やるなら国際関係の中に原子力というビジネスを置かずに、事故をふまえた原子力に対する理念を正々堂々うちだすべきだと考えます。それはおそらく、対放射能汚染技術や、最終処分技術といった、使ったあとの100年200年、数万年をふまえた技術を作り出す、という姿勢になると思います。

そのような取り組みに日本の企業群が乗り出す事ができれば、いいのになぁ!と。海外の企業は怒るかもしれないけれど、それだったら私、日本企業と共犯になりたいものです。


日本製鋼所の記載がある、防衛産業に関する本。著者は女性のかた。。。